電子ジャーナル-ビジネスモデルについてのささやかな希望-
電子ジャーナルのビジネスモデルについては、今のところ確立されたモデルが存在しているとは言い難いようです。確かに、エルゼビアなどの大手出版社などは電子ジャーナルを有料配信し、しかもその配信しているデータベースも圧倒的な数を誇っています。
その一方で、オープンアクセス運動、機関リポジトリなどの動きがあり、かならずしも先のエルゼビアなどの出版社が、大学、研究機関等において諸手をあげて歓迎されているとは言い難い側面があるのも事実のようです。
米国の国立衛生研究所(National Institute of Health: NIH)のPubMed Centralでは2005年5月から無料公開されたのがいい例です。
人類の知的資産は私的所有ではなく、出来れば人類の共有財産となって非営利団体等で管理運営されるのが理想的な形といえるのではないでしょうか。
とはいうものの、現実はそう簡単ではありません。
すでに一部の出版社などが巨額の資金を投入して、学術論文を集め、データベース化し、電子ジャーナルとして配信出来るように、システムを構築し多くの大学、研究機関の多くの研究者を支援してきた実績があり、この活動は単にビジネスという言葉では言い表せないものがあります。
なぜなら、海外における学術コミュニケーションは出版社がその役割を担ってきたからです。
この点において、出版社の役割は重要だったのだ。一方国内における学術コミュニケーションは学会等がその役割を果たしてきたのとはやや事情が異なります。
問題はその費用(価格)です。
80年代北米を中心におきた、シリアルズ・クライシス(Serials crisis)における、雑誌価格の高騰に端を発した、図書館を中心とした様々な動きは、電子ジャーナルの価格についても同様な動きを招いたのです。
しかし、こうした様々な試みがあったものの、根本的な解決には至っていないのが現実のようです。
電子ジャーナルを無料化できるのが一番望ましいのだが、なかなか難しい。
同じような業界、ビジネスモデルが存在しないこものかと、見回しみてみたら、一つだけ似たような業界があった。音楽業界です。
もちろん、これとて問題がないとはいい難いのですが・・・・
アップルコンピュータ(現在はアップル社)がiPod+iTunesを開発して、音楽コンテンツをダウンロードするビジネスモデルを確立した例が参考になり、ひとつの方向性をを示してくれているような気がします。
電子ジャーナルによる、1論文のダウンロード。このダウンロードに対し課金するというスタイル(もちろん、現在すでに行われていることは承知の上ですが・・・)は、iPod+iTunesの音楽コンテンツのダウンロードと非常に似通っていないだろうか?
ご存じのおように、アップル社のiPod+iTunesは無料でダウンロードできますし、様々なプラットフォームにも対応しています。アップル社が成功したのは、iPod+iTunesを無料公開し、音楽、動画などの様々なコンテンツを有料ではあるものの自分の好きなものだけをダウンロードできるというスタイルにあると考えられます。
それまで、音楽はCD音楽を焼き込みレコード屋などの店頭で売られるのが当たり前でした。ヴァリエーションとして、シングル盤、あるいはCDアルバムというスタイルで売られるの当たり前でした。
消費者は、CDアルバムの中の1曲だけがほしくてても、CDアルバムを購入せざるを得ないのが当時の状況だったのです。また、レコード会社の違うアーティストの曲をそれぞれ1曲ずつという選択肢など、当然なかったのです。
こうした、消費者にとって必ずしもありがたい状況になかった音楽業界に、消費者が自由に好みの曲だけを、レコード会社も関係なく、CDアルバムも関係なく自由に選び、iPod+iTunesの出現によって可能になったのです。
これは音楽業界にとっては革命といえそうです。
有名な話ですが、このことだけが理由とはいいませんが、タワーレコードは倒産という業界にとってまさに象徴的な出来事が起きたのことをみても、インパクトの大きさを実感できます。
学術世界と音楽業界が全く同じとはいいませんが、参考にできる部分があるのではないでしょうか?
現在ある無料電子ジャーナルは投稿者が費用を払って、投稿、公開しているのが一般的なようです。
このスタイルに、1論文の有料ダウンロードを組み合わせ、もっと工夫することで、高額な配信料をさらに、もっと安く配信することはできないものだろうか?
インターネットの世界はオープン化とうのが、大きな流れのような気がしますし、人類の知的財産は人類にとって共有の財産であってほしいという、私の個人的な望みを実現出来るような、そんな「電子ジャーナルのビジネスモデル」が、出てこないだろうか?
ささやかな願い・・・・・・・です。